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2008年7月の5件の記事

間違った古民家再生工事

元ネタは大工さんの愚痴話
手がけているのは築120年程度の茅拭き農家。
現状茅拭きの上にトタン屋根が被さっています。
茅葺きなので小屋組は合掌作り。

さて、設計では茅を取り払って合掌を残し、
ガルバリウム鋼板にて屋根を葺き直す。
痛んだ柱でも雰囲気の良い物は残すと無茶ばかり。
現場をどう進めて安全な家にするか悩んでいるとの事。

問題点は、合掌造りを無理に残して鋼板屋根にすること。
合掌造りは茅拭きだから構造が持つものです。
茅を取り払った後の合掌の骨組みは華奢で持つとは思えない。
また、合掌の骨組みは鋼板の屋根が作れるほど精度が高くない。
大工は鋼板の屋根下地をどう造るか思案にくれています。
ま、それなりに作り上げるでしょうけど耐久性は悩ましい。

鋼板葺きにするなら桁から上小屋組は作り直しが正解です。
大工も可愛そうですが、一番大変なのはお施主様です。
竣工後に大きな問題が起きないことを願います。

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伝統工法 土壁ワークショップ

東京都大田区大森で土壁の本格伝統工法で工事中の工務店さんにお誘い受け、土壁塗りのワークショップに参加してきました。
2帖弱のたんぼを作って荒木田(今回は川越産)を藁スサ入れて練って。
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通し貫に小舞を搔いてせこせこ土を練っていく泥遊び。
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ワークショップには学生さんやら工務店さんのお付き合いのある職方とか15人ぐらい参加、昨日は30人ぐらいいたらしい。結構いるんですね好きな人。こうやって簡単な作業をボランティアで手伝ってもらうと結構コスト下がります。
土壁は手間が掛かるので人件費が大変ですが、上手いやり方です。

無心に仕事するのも楽しいですね。で、明日はたぶん筋肉痛です。

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建築基準法の改正に異論

耐震偽装を発端とした建築基準法の改正が昨年6月に行われ、それ以降手続きが複雑になり工事着工のスケジュールが立てられないほど混乱しています。
今年になってから単純な住宅なら目処が立ってきましたが複雑な物、ビルなどは相変わらず手続きに2~3倍掛かっています。

その状況の中被害者であったグランドステージ池上の建て替えがほぼ完了しました。建て替えを急ぐため昨年5月に手続きを済まして改正前の基準で建て替えています。改正後では手続きの目処が立たず半年以上遅れる。その無駄を避けるため早く進めたそうです。仮住まいの家賃や金利負担を考えれば当然ですね。国交省の改正は被害者を救う物じゃなかった。

また、改正の内容にも不満を持っているそうです。被害者としてはミスをチェックする検査を強化して偽装が出来ないシステムを望み、国交省に提言しましたが、無視されました。役人は無駄な労力を使いたくないのでしょうか?。

現状3階建てでも10階建てでも中間検査は一回だけです。抜き打ちがあれば効果的ですが(アメリカでは行っています)やる様子はないですね。

もう一つの要望で、罰則強化があります。被害者はマンションの建築主、設計者、工事会社に「違反をすれば会社が潰れる」罰則を提言しましたが、改正は設計者への罰則強化だけでヒューザーのようなマンション建築主は見逃しています。

そして、法改正による景気への影響もよくご存じで次のような意見が掲載されていました。
「 医療機器の開発にかかわる仕事をしている関係上、病院関係者と接する機会がよくあります。改正建基法の影響で、病院の建て替えや増改築がやりにくくなったという話を聞くことがあるのです。国交省は、建基法が建築業界だけでなく様々な業界、社会全体に大きな影響を及ぼすことを忘れないでほしいですね。 」

こういう指摘に国交省は真摯に対応して欲しいものです。

参考の記事URL(読むには読者登録が必要です)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20080706/524168/?P=1
「確認の厳格化より違反建築に厳罰を」、耐震偽装マンション被害者が改正建基法に異論

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住宅瑕疵担保履行法

来年施行の住宅瑕疵担保履行法での伝統工法の扱いについて解る範囲で。
瑕疵担保の検査を行うに当たって伝統工法の検査基準が纏まっていません。
現在、国交省・住木センターが中心になって詳細検討中です。
古材の使い方の基準も決まるようです。 一応、概要が決まるのが来年早々に予定。
それまで、来年の10月以降引き渡しの伝統工法は着手しない方が良いです。

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伝統構法の耐震補強

伝統構法は在来工法と特性が異なるので耐震補強は特別な配慮が必要です。
ここでは伝統構法独特の耐震補強について書いてみます。

補強は全体的に行う

伝統構法の構造は木組み・通し貫で繋がった物です。弱い所だけを補強すると全体のバランスが崩れます。建物全体を見て補強のバランスを加減します。

伝統構法耐震補強の禁じ手

1.筋交いを用いてはいけない
伝統構法は曲げ系の構造体です。筋交いの補強を用いると柱の曲げを抑えてしまい余計な応力を発生させます。結果柱が折れる破壊で倒壊に至ります。
倒壊に至らなくとも柱頭・柱脚を破壊し解体しなければ補修できません。

2.金物補強は行わない
仕口など接合部への金物補強も被災時に柱・梁の破壊を招きます。
弱い接合部だった場合、木組みにより粘りを持たせる補強を行います。
仕口が痛んでいるときは部材の補修を行い組み直します。

3.石場建てにアンカーボルトは使わない
石場建ての場合基礎補強などせず、アンカーボルトも使いません。
石場建てが免震要素ですのでその効力を活用します。
柱が沢山痛んでいる場合、柱を補修し同じく石場建てとします。

伝統構法耐震補強の手法

1.壁を増やす
既存の壁を近い強度で新たに壁を増やして耐震性を補います
天井から床まで壁を作る方法や、腰壁・垂壁を増やす方法があります。

2.柱を増やす
柱の曲げ抵抗はかなり効果があります。添え柱も効果的です。

3.差鴨居・足固めの活用
出来るだけ開放的な空間とする場合、差し鴨居・足固めを用います。
ただし、この補強は柱仕口に応力が掛かるので柱太さに注意が必要です。
柱に添え柱を行うか、差鴨居・足固めをあまり太くしない配慮をします。

基本:耐震補強の前に痛んだ箇所の補修を優先してください。
どれだけ補強をしても元々痛んだ箇所があっては持ちません。
補強の前に建物全体の調査を行い、修復計画を立て補強します。

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